
ワキガに前兆はあるの?簡単セルフチェックで早めに対策を
汗の悩みはとてもデリケートなものなので、気軽に他人に相談できるものではありません。特に、ワキガの症状は思春期頃からあらわれるため、いじめや引きこもりの原因になることもあります。
できれば早めにケアしたいものですが、ニオイが強くなる前にワキガ体質かどうかを知ることはできるのでしょうか。
今回は、「ひょっとしたらワキガかもしれない」と不安を抱えている方のために、ワキガの前兆について解説します。体への負担が少なく、ダウンタイムがほとんどないワキガ治療も紹介しますので、お子さまのワキガに悩んでいる方もぜひ参考にしてください。
ワキガの原因はだれもが持っている“アポクリン汗腺”
ワキガのニオイの原因は、“アポクリン汗腺”と呼ばれる汗腺から分泌される汗です。アポクリン汗腺はだれにでもあるものですが、そのタイプによってワキガになりやすいかどうかが決まります。
ニオイのもととなる汗を分泌するアポクリン汗腺
アポクリン汗腺は、わきの下やへそ回り、陰部や耳穴など限られた部分のみにある汗腺です。
アポクリン汗腺から分泌される汗は、脂質やたんぱく質を豊富に含みますが、分泌直後はほとんどニオイがありません。皮膚表面にいる細菌により汗が分解されると、ワキガ臭の原因となる物質が生まれます。
もっとも、ニオイの原因物質は揮発性が低いため、そのままの状態で周囲の人がニオイに気付くことはほとんどありません。しかし、“エクリン汗腺”と呼ばれる汗腺から分泌される通常の汗と混ざって蒸発すると、強いニオイが広がりやすくなります。
アポクリン汗腺のタイプがワキガに影響
アポクリン汗腺は、赤ちゃんから大人までだれにでもある汗腺ですが、数や大きさは人それぞれ異なります。
一般的に、ワキガの人はアポクリン汗腺が大きくて数が多く、働きも活発だといわれています。しかし、アポクリン汗腺の状態は皮膚を切開しなければ確認できません。したがって、ワキガに対する不安がある場合は、次に紹介する前兆の有無をチェックして早めにケアすることが大切です。
ワキガの前兆をセルフチェック
それでは、ワキガの前兆となる症状があるかどうかセルフチェックしてみましょう。以下の項目に当てはまる場合は、ワキガ体質の可能性があります。
ワキガの前兆(1)耳垢が湿っている
耳穴にはエクリン汗腺がありません。したがって、耳垢の湿り気はアポクリン汗腺から分泌された汗が原因である場合がほとんどです。
そして、耳穴のアポクリン汗腺が多いと、それに比例してわきの下のアポクリン汗腺も多い傾向があるため、耳垢が湿っている人はワキガの可能性が高くなります。特に、耳垢が溶けたキャラメルのようにドロドロしている場合は要注意です。
ワキガの前兆(2)衣類が黄ばんでいる
ワキガの人は、衣類の黄ばみに悩まされる場合も少なくありません。黄ばみの原因となるのは、アポクリン汗腺からの汗に含まれるたんぱく質や脂質、鉄分、そして“リポフスチン”と呼ばれる色素成分です。
ワキガでなくても、衣類のわき部分にうっすらと境界のはっきりしない汗染みができることはあるでしょう。しかしワキガの人の場合、黄色から黄土色の境界がはっきりした濃い染みが残ります。
ワキガの前兆(3)家族にワキガの人がいる
ワキガは遺伝しやすく、片方の親がワキガの場合、子どもがワキガ体質になる確率は50%以上です。両方の親がワキガの場合、子どもがワキガ体質になる確率は75%以上ともいわれています。お子さんのワキガが心配な場合は、近親者にワキガの人がいないかどうかをまずチェックしましょう。
ワキガの前兆(4)わき毛が多い
アポクリン汗腺は毛穴に開口しているため、毛穴のない部分、つまり毛の生えていない部分にアポクリン汗腺はありません。逆にいえば、毛の量が多いとアポクリン汗腺の数も多くなるため、ワキガの人はわき毛の量が多めだといわれています。
ただし、「わき毛の量が多い=ワキガ」というわけではありません。わき毛が少なくてもワキガになっている人はいますし、わき毛が多くてもワキガ体質ではない人もいます。したがって、わき毛の量は参考程度にとどめておきましょう。
ワキガの前兆(5)わき汗の量が多い
ワキガの原因となるアポクリン汗腺と、多汗症の原因となるエクリン汗腺はまったくの別物です。しかし、アポクリン汗腺から分泌される汗は、エクリン汗腺から分泌される汗によって拡散されるため、わき汗の量が多ければワキガ臭も強くなる傾向にあります。
また、ワキガと多汗症は合併率が高く、ワキガの人の約6割がわきの多汗症にも悩まされているといわれています。
代表的なワキガの治療方法
ワキガの前兆に気が付いたら、早めに適切なケアを受けましょう。体への負担が少ない方法を選べば、お子さまでも治療が受けられます。
ボツリヌストキシン注射による治療
シワ取りにも使われるボツリヌストキシンをわきの下に注射して、エクリン汗腺からの発汗を抑える治療です。ニオイの原因となる物質が拡散しにくくなるため、ワキガ臭の軽減にも役立ちます。
メスを使わず薬液を注射するだけなので、治療時間は両わきで約10分、ダウンタイムはありません。治療後の運動制限もないため、お子さまでも受けられます。
治療効果があらわれるのは注射から2~3日経過後で、効果持続期間は6ヵ月ほどです。大切なイベントや汗の多い季節に合わせて一時的に汗を止めたい方、忙しくてまとまった時間がとれない方、子育て中の方などにもよく利用されています。
マシンによる治療
ワキガや多汗症が、医療用のマシンで治療できることをご存じでしょうか。ここでは、高周波を利用する“ビューホット”と、電磁波を利用する“ミラドライ”の治療について解説します。
・ビューホット
ビューホットは、極細の針の先から高周波を照射して、汗腺を焼灼(しょうしゃく)、破壊するマシンです。ピンポイントで高周波を汗腺に直接作用させるため、皮膚へのダメージはほとんどありません。アポクリン汗腺のある層を中心に働きかけることで、ワキガの治療に高い効果が期待できます。
治療時間は両わきで約20分、ダウンタイムがなく、お子さまでも受けられる方法です。いったん破壊された汗腺は再生されないといわれているため、長期的な効果が期待できます。
・ミラドライ
ミラドライは、アタッチメントをわきにあてて電磁波を照射し、汗腺を焼灼、破壊するマシンです。電子レンジと同じ原理で電磁波を汗腺に直接作用させ、独自のクーリングシステムで皮膚へのダメージを抑えながら、汗腺を熱で破壊します。
治療にかかる時間は両わきで約20分、ビューホットと同じくダウンタイムがないため、お子さまにもおすすめの治療です。こちらも長期的な効果が期待できます。
イナバ法による治療
イナバ法は、わきの皮膚をシワに沿って2センチほど切開し、専用の医療器具を挿入して汗腺を削り取る方法です。汗腺の7~8割を取り除けるため、汗の量が多い方、ニオイの症状が強い方でも高い効果が期待できます。
治療時間は両わきで約30分ですが、手術後3日間はわきを強めに固定するため、腕を大きく動かすことはできません。その後4日間ほど緩めに固定し、おおむね1週間後に抜糸を行ないます。
なお、いったん除去された汗腺が再生することはほぼありません。したがって、長期的な効果を望む方におすすめの治療といえます。
切開剪除法による治療
切開剪除法(せっかいせんじょほう)は、わきの皮膚の中央部分をメスで切開して反転させ、汗腺を目で確認しながら医療用のハサミで取り除く方法です。汗腺の約9割を除去できるため、ワキガの症状が特に強い人におすすめの治療といえるでしょう。
治療時間は両わきで約40分です。手術後の固定が必要なのはイナバ法と同様で、抜糸は約1週間後に行なわれます。もちろん、取り除いた汗腺が再生することはほぼないため、長期的な効果を望む方におすすめです。
ワキガの前兆に気付いたら早めにケアを
今回は、ワキガの前兆について解説しました。ワキガ臭が気になると、自分に自信が持てなくなったり、人間関係に影響したりすることもあります。ワキガの前兆に気が付いたら、スメハラなどで悩みが深くなる前に、適切な治療を受けることを考えましょう。
当クリニックでは、30年以上にわたりワキガ・多汗症治療に従事してきた院長が施術を担当します。他院の治療後に症状が再発したケースにも対応可能です。また、未成年の方に対するワキガ治療も行なっています。ワキガの診断・治療は、当クリニックにおまかせください。
銀座長澤クリニックは、あなたのお悩みに向き合い、どのようなことでも親身にお応えします。
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