多汗症とは?原因は?治療方法はあるの?

多汗症で悩んでいる人は、決して少なくありません。厚生労働省が行なった全国的な疫学調査によると、病気などの原因ではない手足の多汗症の人は、日本人の5.3%、脇の多汗症の人は5.7%もいることがわかっています。

そこで今回は、多汗症の症状や原因のほか、症状の軽減が期待できる治療方法をいくつかご紹介します。

多汗症の症状とは?

“汗かき”と多汗症は異なります。多汗症は、生活に支障が生じるほど大量の汗をかく症状です。

多汗症とは必要以上に大量の汗をかく症状

緊張する場面や暑さが厳しいとき、食事で辛いものを食べたときなどに汗をかくのは、だれにでもあることです。このような状況下で少し汗の量が多くても、単なる“汗かき”であって多汗症ではありません。

多汗症とは、暑さや運動量とは関係なく必要以上に大量の汗をかき、皮膚の表面が汗で濡れてしまう状態です。症状が重い場合はしたたるほどの発汗があり、発汗部位が絶えず湿って冷たくなっているケースもあります。寝ている間は発汗しないこともあるなど、多汗症の種類によって症状のあらわれ方は異なります。

なかには汗が原因で学業や仕事に支障が生じたり、対人関係に悩んだりする人もいるため、適切な治療が必要です。

さまざまな種類がある多汗症

多汗症は、原因や発汗部位によってさまざまなタイプに分類されます。

続発性多汗症と原発性多汗症

続発性多汗症は、病気やケガ、薬などが原因で生じる多汗症です。

続発性多汗症では、原因となっている病気やケガなどの治療が優先され、薬を変更するなどの対策がとられます。そして原因を取り除けば、汗の症状も軽くなっていきます。

一方、原因が明らかではない多汗症を、原発性多汗症と呼びます。

原発性多汗症は、続発性多汗症のように取り除くべき原因がありません。しかし、後述するさまざまな治療方法で症状の軽減を図ることが可能です。

全身性多汗症と局所性多汗症

全身の汗の量が増えるタイプを、全身性多汗症と呼びます。一方、体の特定の部位で発汗量が増えるタイプを、局所性多汗症と呼びます。

局所性多汗症で汗が増える部位は、脇の下や手のひらだけではありません。頭や顔、足の裏の汗が増える場合もあり、複数の部位で多汗の症状がみられることもあります。

多汗症の原因

多汗症の原因は、いまだにはっきりとは解明されていません。しかし、交感神経が優位になると汗が出やすくなるため、以下のようなことがきっかけで大量の汗をかく場合があります。

ストレスや緊張

精神的な緊張が高まると、交感神経が優位になって発汗量が増えます。そのため、交感神経が興奮しやすい人ほど多汗症になりやすいと考えられています。ただし、交感神経が興奮しやすくなる原因は不明です。遺伝の関与も指摘されていますが、詳細は明らかになっていません。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンの分泌は、脳の視床下部という部分でコントロールされています。視床下部は自律神経の中枢でもあり、代謝や体温調節などを制御しているため、ホルモンバランスが乱れることで交感神経も影響を受け、発汗が促進される可能性があります。

女性の場合、妊娠時や更年期、月経周期にともなってホルモンバランスが大きく変化する際に、症状があらわれるケースがあります。

食生活や嗜好品の影響

辛いものや熱いものを食べたときに、多汗症の症状があらわれることもあります。また、コーヒーに含まれるカフェインや、タバコに含まれるニコチンは、過剰に摂取すると発汗量が増すことがわかっています。

食事の内容や嗜好品の摂取量は、他の要因に比べて改善しやすいため、多汗症が疑われる場合は積極的に見直しましょう。

病気や薬の影響

多汗症の原因となる病気としては、感染症や内分泌系の病気、神経系の病気などがあります。また、ケガで神経を損傷した場合や腫瘍がある場合にも、多汗症の症状があらわれることがあります。

薬が影響している場合もあり、発汗の副作用が問題となる薬として、精神疾患の薬、睡眠導入薬、痛み止め、ステロイドなどがあります。

多汗症の治療方法

次は、多汗症の治療方法を紹介します。多汗症の治療には、塗り薬を塗布するものから手術まで、さまざまな方法があります。治療方法は、多汗症の症状や部位、治療を受ける人の生活背景などを考慮して、最も適したものが選択されます。

外用薬による治療

塩化アルミニウムのアルコール溶液や水溶液を患部に塗布する方法です。脇の下や手のひら、足の裏の多汗症の治療として用いられます。

通常は一日1回、寝る前に塩化アルミニウム溶液を塗布します。手足の発汗量が多い場合は、塩化アルミニウム溶液を塗ったあとに、食品用ラップやプラスチック製の手袋などで密封すると効果的です。

効果があらわれるまでに2~3週間かかりますが、汗の量が落ち着いてきたら週2~3回に減らすことも可能です。ただし、使用を中止すると再発する可能性があります。

水道水イオントフォレーシス

水道水を入れた容器に手のひらや足の裏を浸し、弱い直流電流を流す方法です。

イオントフォレーシスは、1回30分の治療を8~12回行なうと効果があらわれてきます。ただし、発汗抑制効果を維持するためには、週に1~2回の治療を継続しなければなりません。

ボツリヌストキシン注射による治療

ボツリヌストキシンを発汗部位に注射して、汗腺の働きを弱める治療です。脇や手のひら、足の裏、額、頭皮などさまざまな部位の多汗症に対応できます。

注射の2~3日後から効果があらわれ始め、6~8ヵ月間ほど汗を止める効果が期待できます。大切なイベントに合わせて一時的に発汗を抑えたい方や、暑い季節の発汗が気になる方などにおすすめの治療です。

マシンによる治療

マシンを使い、高周波や電磁波で汗腺を焼いて破壊する治療です。脇の多汗症と同時にワキガの治療も行なえます。

マシンで一度破壊された汗腺は再生しないため、きちんと処理が行なわれれば再発のリスクは最小限に抑えられます。メスを使わず、ダウンタイムもほぼないため、施術当日から通常の生活に戻れる点も大きな魅力です。

手術で神経を遮断する方法

発汗を促す交感神経に刺激を送っている回路は、胸部の交感神経節を経由しています。内視鏡を使い、胸部の交感神経節を切除したり焼き切ったりして神経回路を遮断することで、手の発汗を抑えられます。

安全性の高い手術とされていますが、手術後に胸や背中、尻などの発汗量が異常に増え、日常生活に支障が生じるケースが少なくありません。

この手術を検討する際は、メリットとデメリットをしっかり確認したうえで、慎重な判断が必要です。

手術で汗腺を取り除く方法

脇の多汗症の場合、手術で汗腺を取り除くという選択肢もあります。脇の下の一部を小さく切開して、専用の器具で汗腺を削り取る「イナバ式皮下組織削除法」が代表的です。

多汗症の原因であるエクリン汗腺と、ワキガの原因であるアポクリン汗腺を同時に除去するため、ワキガに悩んでいる方にもおすすめです。

生活に支障が出るほどの多汗症は、医療機関で治療の相談を

多汗症で悩んでいる場合は、まず医療機関を受診しましょう。多汗症が病気などによって生じている場合、原因となっている病気を治療すれば症状の改善が期待できます。原因がわからない多汗症であっても、治療により症状の軽減は可能です。

汗に関する悩みで何科を受診するべきか悩んでいる方は、当クリニックにご相談ください。それぞれの方の生活背景や運動量などにも配慮して、日常生活への支障が少ない治療をご提案いたします。

記事の監修者:長澤 誠一郎

1984年慶應義塾大学医学部卒業。
医学博士。
日本美容外科学会認定専門医。
多くの治療実績を積みながら、
大手美容外科での院長経験を経て、2010年に銀座長澤クリニックを開院。
現在は日本美容外科医師会の理事を務める。
銀座長澤クリニックのすべての治療を担当している。

銀座長澤クリニックは、あなたのお悩みに向き合い、どのようなことでも親身にお応えします。
お問い合わせは無料ですのでお気軽にご相談ください。

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