
ワキガ体質は生まれつき決まっているの?知っておきたい遺伝との関係
「ワキガは遺伝。」「生まれつきだから治らない。」そんなふうにあきらめていませんか。
たしかに、ワキガの原因であるアポクリン汗腺の数は遺伝の影響が大きく、生まれたときから決まっています。また、ワキガ体質は両親から受け継ぎやすい「優性遺伝」といわれています。しかし、家族にワキガの人がいるからといって、家族全員がワキガになるわけではありません。
そこで今回は、ワキガと遺伝の関係、そして遺伝以外でワキガのニオイを強くする原因をさぐり、ワキガ体質の有無に関わらずニオイを軽くできる方法をいくつか紹介します。
ワキガと関係するアポクリン汗腺の数は生まれつき決まっています
まず、ワキガと密接な関係がある「アポクリン汗腺」と遺伝の関係について説明します。
ワキガにはアポクリン汗腺の数やタイプが関係しています
汗を分泌する汗腺には、「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類があります。この2つのうち、ワキガと深い関係があるのは「アポクリン汗腺」です。アポクリン汗腺は、わきの下や陰部、乳輪、耳穴など限られた部分のみにあります。
アポクリン汗腺から分泌された直後の汗は、ほとんどニオイがありません。しかし、この汗には、脂肪・タンパク質・糖質・鉄分・尿素・アンモニアとなどさまざまな成分が含まれています。そして、これらの成分が皮膚にいる細菌によって分解されると、不快なニオイを発するようになります。この独特のニオイが強いことを「ワキガ」と呼びます。
ニオイの強さは、アポクリン汗腺の数や性質によって決まります。ワキガの人は、アポクリン汗腺が大きく活動的で、数が多いことが知られています。
アポクリン汗腺の数は遺伝で決まるといわれています
アポクリン汗腺に限らず、汗腺の数は遺伝の影響が大きく、生まれたときから決まっているといわれています。成長にともない汗腺の数が増えることはありませんし、永久脱毛などをおこなってもアポクリン汗腺の数が減ることはありません。
このようなことから、「ワキガ体質は生まれつき決まっている」といわれることが多いのです。
ワキガ家系でも生まれつきワキガになるわけではありません

ではここからは、ワキガと遺伝の関係について解説します。
ワキガ家系でもワキガにならない人はいます
アポクリン汗腺の数が遺伝の影響を受けることから、ワキガになりやすい体質についても遺伝の影響が示唆されています。しかし、ワキガ家系に生まれた人が全員ワキガになるわけではありません。
もう少し詳しく説明するために、ワキガの遺伝子を「W(大文字)」、ワキガではない遺伝子を「w(小文字)」として以下解説していきます。
両親がワキガの場合
両親がワキガ体質の場合、両親の遺伝子は「WW」あるいは「Ww」であらわすことができます。
たとえば、父「WW」、母「WW」の組み合わせの場合、子どもの遺伝子も「WW」となるため、かなりの確率でワキガを発症します。
父「WW」、母「Ww」もしくは、父「Ww」、母「WW」の場合、子どもの遺伝子の組み合わせは「WW」と「Ww」になるため、こちらもワキガが発症しやすいといえます。
しかし父「Ww」、母「Ww」の場合、子どもの遺伝子の組み合わせは「WW」「Ww」「ww」となるため、一定の割合でワキガではない子どもが生まれることになります。
片親のみがワキガの場合
片親のみがワキガの場合(たとえば父「WW」、母「ww」)、ワキガの親の遺伝子は「WW」または「Ww」となります。
ワキガではない親の遺伝子は必ず「ww」となります。そのためこの場合も、一定の割合でワキガではない子どもが生まれることになります。
たしかに、ワキガ体質は親からその性質を受け継ぎやすい「優性遺伝」といわれています。しかし、上記の例からもわかるように、両親がワキガ体質であっても、すべての子どもがワキガになるわけではありません。実際、両親がワキガであっても、子どもがワキガになる確率は80%程度といわれています。また、片親のみがワキガ体質の場合、子どもがワキガになる確率は50%程度といわれています。
両親がワキガではなくてもワキガを発症する可能性はあります
一方、両親ともにワキガではない場合であっても、ワキガを発症する可能性はあります。
たとえば、動物由来のタンパク質や脂肪分などが多い欧米風の食生活だと、アポクリン汗腺が刺激されて大きくなり、ワキガのニオイがきつくなることがあります。またストレスが原因でワキガ臭が強くなることもあります。
このような場合は、体質に加えて生活習慣や食生活の乱れが、ワキガ発症のきっかけとなることが多いようです。
生まれつきワキガ体質でもニオイを軽くする方法はあります
アポクリン汗腺の数は生まれつき決まっているため、ワキガになりやすい体質自体を変えることは難しいです。しかし、ニオイの強さは生活習慣上の注意や食生活の見直しなどで軽くできる可能性があります。そこでここからは、ワキガ臭を強くする遺伝以外の原因について説明し、ニオイを軽くする方法をさぐります。
ワキガ臭を強くする生活習慣と改善方法
緊張したりストレスを感じたりすると、アポクリン汗腺が刺激されて汗が分泌されます。できるだけストレスを避け、リラックスするようにしましょう。「会議などで緊張する」という場合は、イメージトレーニングをしたり質疑応答の練習をしたりして、緊張しにくい環境をつくりましょう。
わき毛の手入れをおこたり、伸ばし放題にしておくこともニオイを強くする原因となります。わき毛に汗が付着して、まわりにニオイが広がりやすくなるからです。また、わき毛がたくさん生えていると、汗を分解する細菌が繁殖しやすくなります。可能であればわき毛を処理して、汗をかいたらすぐに拭き取れるようにしておきましょう。
吸水性の悪い衣類も、ワキガ臭を強くする可能性があります。ナイロンやポリエステルの衣類や体のラインに沿うような服はムレやすく、ニオイのもととなる物質を増加させることがあります。衣類を選ぶ際には素材にも気を配り、綿素材の肌着の上から着るようにしましょう。
運動不足も、ワキガに悪影響を与えます。運動をしないと汗をかく機会が少ないため、毛穴に老廃物がたまりやすくなります。そして汗をかくと老廃物が一気に排出されるため、強いニオイが生じることがあります。そのため、日頃から適度な運動を心がけ、新陳代謝をよくしておくことがおすすめです。
ワキガ臭を強くする食習慣と見直し方
肉や脂肪を多く摂ると、細菌のエサである皮脂の分泌が増えるためワキガ臭がきつくなりがちです。できれば大豆・野菜・魚介類をメインとする和食を中心とした食事を摂るようにしましょう。和食では、抗酸化物質や食物繊維をたっぷり含む食材もよく使われるので、体臭だけではなく体にもよい影響を与えます。
また、飲酒や喫煙はアポクリン汗腺を刺激するため、ワキガ臭を強くします。付き合いで避けきれないこともあるかもしれませんが、できるだけ飲酒を避け、タバコは禁煙することをおすすめします。
生まれつきの体質を変えることは難しいですが、ワキガのニオイを軽くする方法はあります
ワキガの原因となるアポクリン汗腺の数は、生まれつき決まっています。さらに、ワキガは遺伝の関与が指摘されているので、家族にワキガの人がいるとワキガである可能性が高くなります。しかし、両親が二人ともワキガであっても、子どもが必ずワキガになるわけではありません。また、アポクリン汗腺の数を変えることはできなくても、生活習慣や食生活を見直すことで、ワキガ臭を軽くすることはできます。
しかし、「どうしてもアポクリン汗腺の数を減らしたい」という方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、当クリニックに相談ください。当クリニックでは、アポクリン汗腺を手術で取り除いたり、医療機器を使ってアポクリン汗腺を熱破壊したりして、ニオイのもとから治療をすることができます。アポクリン汗腺の数を減らし、におわない人生を手に入れましょう。
銀座長澤クリニックは、あなたのお悩みに向き合い、どのようなことでも親身にお応えします。
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