多汗症の原因とは?種類や症状、セルフチェックの方法なども併せて解説

多汗症とは大量に汗をかく症状のことですが、単なる汗かきとは異なります。ストレスや食事などが原因で症状があらわれる場合もありますが、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や悪性リンパ腫など重大な病気が原因で多汗症になることもあるため、注意が必要です。

今回は、多汗症の種類や症状のほか、発汗量の増加に影響を与える因子や、多汗症の原因となりうる病気などについて解説します。汗が気になる方のためのセルフチェック項目や、どのような場合に医療機関を受診すべきかのアドバイスもありますので、汗の量にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

多汗症とは?単なる汗かきではありません

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「汗をかきやすい」=「多汗症」ではありません。多汗症とは、必要以上に大量の汗をかく症状をいいます。ここでは、単なる汗かきと多汗症の違いのほか、多汗症の種類や症状について説明します。

多汗症は、過剰な発汗に悩まされる病気です

気温の高いときや運動をしたとき、緊張したとき、辛いものを食べたときなどに汗をかくのは自然なことです。しかし、「暑くないのに大量の汗をかく」など人とは異なるパターンで汗をかく場合や、「いつも手がベタついていて書類やノートが湿ってしまう」といった生活に支障が生じるほどの症状がある場合には、必要以上に汗をかく「多汗症」である可能性があります。

清潔志向の強い日本人は、7人に1人が多汗を自覚しているといわれています。しかし実際に、特に理由がないにもかかわらず体の一部に大量の汗をかく「原発性局所多汗症」の人は、17~20人に1人程度とされています。

多汗症の種類

汗の出る部位で多汗症を分類すると、手足やわきなど決まった部位のみに大量の汗をかく「局所性多汗症」と、体中のあらゆる部位から大量の汗が出る「全身性多汗症」に分けることができます。

一方、汗をかく原因で分類すると、病気や服用している薬などが原因で生じる「続発性多汗症」と、原因が明らかではない「原発性多汗症」に分けることができます。

原発性多汗症は、比較的若い頃(幼小児期~思春期)に発症することが多いといわれています。家族内で同じような症状を発症する人もいるので、遺伝の可能性も指摘されています。なお、原発性多汗症の場合、寝ている間はあまり汗をかかないのが特徴です。

多汗症の症状

軽い多汗症では、汗をかきやすい部位が軽く湿っている程度で、見た目では汗をかいているかどうかわからないこともあります。しかし重症になると、汗のしずくがしたたり落ちるほどの発汗がみられるため、日常生活に支障が生じることもあります。

手足の多汗症では、大量の汗で手足が冷えたり、あせもで皮がめくれて細菌による感染症を起こしたりする場合もあります。また、わきの多汗症では、衣類に大きな汗ジミができることも珍しくありません。

多汗症の原因【局所性多汗症の場合】

わきや手足など、特定の部位の発汗量が増える局所性多汗症は、ストレスや食べ物、手術やケガなどが発汗量の増大に関係していることがあります。

ストレスや不安など精神的な緊張

多汗症の人は、交感神経が敏感な人が多く、ストレスや緊張、不安など交感神経の働きが高まる場面で症状が悪化することが知られています。

なお、精神的緊張で汗をかきやすいのは、手足やわきの下とされています。

精神的緊張を避けるのが一番ですが、できない場合はリラックスをする訓練などが有効なこともあります。

辛いまたは熱い食べ物による刺激

辛いものや熱いものを食べることが刺激となり、首や顔、頭などの多汗を助長することがあります。顔に多汗の症状がある人は、額などにしたたるほどの大量の汗をかくことがあります。

食事の内容はある程度コントロールできることが多いので、外食時などに気をつけるようにしましょう。付き合いで、辛いものや熱いものを食べることが避けられない場合は、辛いものは食べる量を減らし、熱いものはよく冷めてから食べるなどの工夫をすると、発汗量をおさえられます。

手術やケガなどによる神経障害

手のひらの汗を止める手術(胸部交感神経切除)を受けると、副作用として腰や尻、足などに大量の汗をかくことがあります。また、脳梗塞や脊髄損傷などで発汗に関係する神経が障害されると、体の一部に大量の汗をかくことがあります。

胸部交感神経切除は、一度行なってしまうともとに戻すことができません。手術を検討する場合は医師としっかり相談をして、メリットだけではなくデメリットにも目を向けましょう。

これらのほか、ごくまれな皮膚の病気などが原因で多汗症になることもあります。

多汗症の原因【全身性多汗症の場合】

体中のあらゆる部分に多汗の症状がみられる全身性多汗症は、病気やホルモンバランスの乱れ、薬の副作用などで生じる可能性があります。それぞれの原因について、さらにくわしく説明します。

病気

内分泌や代謝にかかわる病気、循環器や中枢神経にかかわる病気などが原因で、多汗症になることがあります。以下に、多汗症の原因となりうる代表的な病気をいくつか紹介します。

・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンには新陳代謝を活発にする働きがあるため、この病気になると汗の分泌量が高まって多汗症の症状が出ることがあります。甲状腺機能亢進症では、多汗のほか、疲れやすい・眠れない・動悸などの症状があらわれることもあります。

・悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、血液のがんの一種です。悪性リンパ腫の特徴的な症状として「寝汗」があり、まめなシーツ交換が必要になるほどの汗をかくこともあります。寝汗のほか、発熱や体重減少をともなう場合は、早めに医療機関を受診してください。

・褐色細胞腫

副腎という臓器に腫瘍ができる病気です。アドレナリンが大量に分泌され、大量の汗をかくことがあります。多汗のほか、血圧や血糖値の上昇、頭痛などが生じることもあります。

・パーキンソン病

パーキンソン病は、脳からの命令が全身にうまく伝わらなくなり、体を動かしにくくなる病気です。パーキンソン病になると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、大量の汗をかくことがあります。

・糖尿病

糖尿病は自覚症状の乏しい病気ですが、病状が進行して神経に障害が生じると、多汗の症状があらわれることがあります。

・肥満

肥満の人は、皮下脂肪が厚く体温が下がりにくいため、食事や運動の際に大量に汗をかく傾向があります。

これらのほか、結核や敗血症など感染症が原因で大量の汗をかくことがあります。この場合、発熱やだるさなどをともなうこともあります。「多汗に悩んで受診したら結核と診断された」ということもあるようです。

病気が原因で多汗症になっている場合は、汗以外の症状をともなっていることも少なくありません。「生まれつきではなく、ある時期から急に汗をかくようになった」「動悸がする」「息が苦しい」「咳が出る」などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

なお、病気が原因となっている多汗症は、病気の症状が改善されると多汗の症状も治まってきます。完治が難しい病気もありますが、病気の治療を優先するようにしましょう。

更年期などによるホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れが原因で、多汗の症状が出ることがあります。よく知られているものとしては、更年期障害にともなう多汗があります。その他、生理や妊娠が原因となることもあります。

ホルモンバランスの乱れが原因で生じる多汗症は、一時的なものが多いようですが、場合によっては何年も症状が続くこともあります。ホルモンを補う治療や漢方薬などの服用で症状がやわらぐこともあるので、つらい場合は医師に相談しましょう。

薬の副作用

向精神薬や睡眠導入剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤(痛み止め)、ステロイドなどの服用で、発汗量が増えることがあります。

薬の服用を中止すれば発汗量は落ち着きますが、急に薬をやめると、もともとの病気の症状が悪化したり、劇的に体調が悪化したりすることもあります。場合によっては、入院が必要になることもあります。

多汗の原因として薬の副作用が疑われる場合は、まず医師に相談しましょう。治療の内容によっては、副作用の出にくい薬に変更してもらえることもあります。

多汗症の簡単セルフチェック

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汗の量が人より多いと感じている場合や、汗に対する不安がある場合は、以下の項目をチェックしてみましょう。該当する項目がある場合は、多汗症の可能性があります。

  • 原因のわからない発汗が、半年以上続いている
  • 暑くないときに、汗をかくことがある
  • 運動後でもないのに、汗をかくことがある
  • 緊張やストレスを感じると、大量の汗が出る
  • 手のひらや足の裏、脇の下が常に湿っている
  • 指先の血色がよくない
  • 本を読んだりノートをとったりすると、紙が濡れる
  • 衣類の脇の下に、大きな汗じみができる
  • 生活に支障が出るほどの汗をかく
  • 常に汗を拭う必要があり、制汗剤などが手放せない
  • 一日に何度も着替える必要がある
  • 日中は汗の量が多いが、寝ているときの発汗は気にならない

上記の項目に当てはまり、なおかつ自覚症状が以下に示した「3」または「4」に当てはまる場合は、医療機関を受診して治療を検討しましょう。

汗をかくことに……

  1. まったく気付かない、邪魔にならない。
  2. 我慢できる、たまに邪魔になる。
  3. どうにか耐えられる、しばしば邪魔になる。
  4. 耐えがたい、いつも邪魔になる。

なお、自覚症状が「1」や「2」のレベルであっても、汗をかくことに不安やストレスを感じている場合、日常生活に支障が生じている場合などは、医療機関の受診をおすすめします。

多汗症は、原因を把握して適切な治療を!

汗はだれでもかくものですが、人とは違うタイミングで日常生活に支障が出るほどの汗をかく場合は「多汗症」の可能性があります。しかし多汗症にはいろいろ種類があり、原因によって治療方法も変わってきます。病気が原因の多汗症もあるため、汗以外に気になる体の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

原因がわからない原発性多汗症であっても、症状によっては医療機関で治療できます。手術で神経を切断したり汗腺を取り除いたりする方法のほか、ボツリヌス毒素を注射する方法、メスを使わずにマイクロ波(電磁波)や高周波で汗腺を熱破壊する方法など、体への負担が少ない方法も選択可能です。

当クリニックでは、多汗症と同時にわきがの治療をしたり、脱毛効果が得られる治療を行なったりすることもできます。興味がある方は、一度カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

記事の監修者:長澤 誠一郎

1984年慶應義塾大学医学部卒業。
医学博士。
日本美容外科学会認定専門医。
多くの治療実績を積みながら、
大手美容外科での院長経験を経て、2010年に銀座長澤クリニックを開院。
現在は日本美容外科医師会の理事を務める。
銀座長澤クリニックのすべての治療を担当している。

銀座長澤クリニックは、あなたのお悩みに向き合い、どのようなことでも親身にお応えします。
お問い合わせは無料ですのでお気軽にご相談ください。

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