なかなか消えない肝斑とは?普通のシミとは違う肝斑の原因と治療法

なかなか消えない肝斑とは?原因と対策方法について専門医がわかりやすく解説

肝斑(かんぱん)はシミの一種ですが、紫外線だけではなく女性ホルモンとも関係が深いことが知られています。また、通常のケアでは薄くなりにくく、ケアの方法を間違えると悪化する可能性がある厄介なシミでもあります。

今回は、肝斑と女性ホルモンの関係のほか、肝斑を悪化させる紫外線・ストレス・刺激などについて解説します。また、肝斑の改善に効果が期待できる治療方法も併せて紹介します。

肝斑とは?女性ホルモンの影響を受けるって本当?

まず、肝斑の特徴と女性ホルモンとの関係について解説します。

顔の左右対称にあらわれる肝斑

肝斑は、輪郭のはっきりしない薄茶色~黒っぽい茶色のシミで、頬骨のあたりを中心に、おでこや口のまわりなど比較的広い範囲に広がります。そして、顔の左右対称に、ほぼ同じ大きさ、同じような形であらわれるのが特徴です。

しかし、髪の毛の生え際やまゆ毛のまわり、まぶたなどにはできません。そのため、その部分だけが白っぽく色が抜けたように見えることもあります。

女性ホルモンの影響が示唆されている肝斑

肝斑は、ホルモンバランスが乱れがちな30~50代の女性にあらわれやすいことが知られています。一方、高齢になってホルモンの分泌量が減少すると、徐々に改善していくのも特徴です。

また、妊娠やピルの服用がきっかけで生じるケースもあり、生理の周期に応じてシミの濃さが変わることもあります。さらに、精神的なストレスなどでホルモンバランスが乱れた場合にも、肝斑の症状が悪化するといわれています。

これは、女性ホルモンのバランスが崩れると、メラノサイト(メラニンを作り出す細胞)が活性化され、メラニンの産生量が増えることが影響していると考えられるからです。

肝斑の悪化を防ぐ方法とは~紫外線・ストレス・刺激への対策が重要

肝斑の悪化を防ぐ方法とは~紫外線・ストレス・刺激への対策が重要

次に、肝斑を悪化させる原因と、その対策について解説します。

紫外線で悪化する肝斑

紫外線は、肝斑の直接的な原因ではないとされています。しかし、紫外線を浴びるとメラノサイトが刺激され、メラニンが生成されます。また、紫外線を浴び続けると、肌のターンオーバーサイクルが乱れて新陳代謝が滞り、メラニンが排出されにくくなります。そのため、紫外線は肝斑の誘発原因であり、また悪化原因でもあるといわれています。

肝斑の悪化を防ぐためには、一年を通じて紫外線ケアをすることが大切です。夏場でなくてもこまめに日焼け止めを塗り、外出時には日傘や帽子を利用するなど、紫外線から肌を守る対策をするようにしましょう。

ストレスで悪化することも

ストレスや寝不足などが原因で自律神経の働きが乱れると、体のホルモンバランスが崩れてしまいます。前述のように、ホルモンバランスの乱れは肝斑の悪化原因の一つなので、できるだけストレスを避けるようにしましょう。

例えば、規則正しい生活をして睡眠時間を確保するだけでも、精神的・身体的負担はかなり軽減されます。また、軽く体を動かしたり、夢中になれる趣味を見つけたりするのも、ストレス解消に効果が期待できます。

摩擦や乾燥も肝斑を悪化させる要因に

クレンジング時に肌を強くこする、フェイスローラーなどで強い刺激を与えるといった物理的な刺激も、肝斑を悪化させます。また、肌の乾燥も、肝斑を悪化させるといわれています。これは、刺激や乾燥で肌のバリア機能が破壊されるためだとされています。したがって、肝斑の悪化を防ぐためにはスキンケアの方法にも注意が必要でしょう。

洗顔やクレンジングの際にはできるだけ肌をこすらないようにし、刺激を与えないように注意しましょう。また、フェイスローラーなどを使う際は、肝斑のあらわれやすい頬のあたりは避けるようにします。肌が乾燥している場合は保湿力の高いコスメや加湿器などを利用して、乾燥しにくい環境をつくるように心がけましょう。

肝斑は飲み薬・塗り薬・ピーリングやイオン導入で治療します

最後に、できてしまった肝斑を治療する方法について解説します。

飲み薬でメラニンの発生を抑える

肝斑は、トラネキサム酸を主成分とする肝斑専用の飲み薬で治療できます。トラネキサム酸はアミノ酸の一種で、のどのはれや口内炎を治療する市販薬、歯磨き粉などにも配合されています。

また、トラネキサム酸には、メラニン細胞を活性化する因子をブロックして、メラニンの発生を抑える働きがあります。そのため、トラネキサム酸を服用すると、肝斑を薄くする効果が期待できます。

トラネキサム酸は、通常8週間の服用で効果を実感できるといわれています。8週間服用してもシミが薄くならない場合は、肝斑以外のシミである可能性が高いので、それ以上トラネキサム酸を服用するのはやめましょう。

なお、肝斑ではない人がトラネキサム酸を服用しても、体への悪影響はほとんどありません。また、トラネキサム酸は女性ホルモンへの直接的な影響はないため、ピルのように太りやすくなるということもないでしょう。

塗り薬でメラニンの合成を抑える

塗り薬で治療する場合は、メラニンの合成を抑えるハイドロキノン入りのクリームを使用することが多いです。ハイドロキノン配合のクリームは市販されていますが、濃度が濃くなると肌への刺激が強くなります。肌が弱い方や、使用に不安がある方は、医療機関を受診して処方してもらう方がよいでしょう。

その他、美白効果が期待できるビタミンCやトレチノイン入りのクリームが使用されることもあります。

ピーリングやイオン導入などを利用する

ケミカルピーリングをすると、肌のターンオーバーがうながされ、シミを薄くする効果が期待できます。しかし、刺激の強い薬剤を使ったり、短期間にピーリングを繰り返したりすると、肌のバリア機能が破壊されて肝斑が悪化する可能性があります。

また、マシンによるイオン導入や超音波導入で、美白成分を肌に浸透させる治療もよくおこなわれています。美白成分として肌に導入されるのは、トラネキサム酸やビタミンCなど肝斑に効果が期待できる成分です。

レーザー治療には注意が必要

肝斑に強いレーザーを当てると、いったんは色が薄くなるものの再発したり、より濃いシミになったりすることがあります。そのため、肝斑へのレーザー照射には、注意が必要です。

肝斑の治療としてレーザーを使う場合は、出力を抑えて、1~2週間おきに5~10回程度治療を繰り返す方法がとられることもあります。このような方法であれば徐々に肝斑の色を薄くしていくことができますが、場合によっては肝斑の色が濃くなったり、逆に色が抜けすぎて肌の色がまだらになったりすることもあるので注意しましょう。

肝斑は予防が大切!できてしまった肝斑は、刺激の少ない方法で治療しましょう

肝斑は、女性ホルモンと深い関係があるシミです。ホルモンバランスの乱れで悪化しますが、紫外線やストレス、摩擦や乾燥なども悪化原因になります。肝斑へのレーザー治療は注意が必要なので、一般的には内服薬や塗り薬、ケミカルピーリングやイオン導入などで治療します。

当クリニックでは、肝斑に対してリスクの高いレーザー照射はおこなわず、刺激の少ないIPL(光)治療器で対応しています。また、イオン導入で肝斑を肌の奥からケアします。
さらに肝斑だけではなく、赤ら顔やニキビ跡の治療、肌質の改善に効果が期待できるマシンもそろえておりますので、肌の悩みが多く何から治療すべきかわからない方、肌をいたわりながら治療をしたいとお考えの方は、当クリニックにぜひお越しください。

記事の監修者:長澤 誠一郎

1984年慶應義塾大学医学部卒業。
医学博士。
日本美容外科学会認定専門医。
多くの治療実績を積みながら、
大手美容外科での院長経験を経て、2010年に銀座長澤クリニックを開院。
現在は日本美容外科医師会の理事を務める。
銀座長澤クリニックのすべての治療を担当している。

銀座長澤クリニックは、あなたのお悩みに向き合い、どのようなことでも親身にお応えします。
お問い合わせは無料ですのでお気軽にご相談ください。

関連記事一覧