まぶたのたるみはハードコンタクトが原因?予防策と有効な治療法を解説

視力矯正やおしゃれのために、コンタクトレンズを常用している方もいらっしゃることでしょう。しかし、コンタクトレンズの使用でまぶたがたるみやすくなることをご存じでしょうか。

コンタクトレンズとまぶたのたるみの関係はかねてから指摘されており、数多くの調査が行なわれています。特に、ハードコンタクトレンズの使用者はリスクが高く、非使用者に比べて20~100倍もまぶたがたるみやすいともいわれています。ソフトコンタクトレンズでも8~15倍程度リスクが高まることが報告されています。

今回は、ハードコンタクトレンズがまぶたのたるみを招く理由から、日常生活でできるたるみ予防策を探っていきます。たるんでしまったまぶたを改善する治療法も紹介するので、コンタクトレンズを使用している方はぜひ参考にしてください。

ハードコンタクトがまぶたのたるみを招く理由

コンタクトレンズ、特にハードコンタクトレンズの使用でまぶたがたるみやすくなる理由は、レンズの脱着方法と日常的な摩擦にあるといわれています。

脱着時にまぶたを引っ張る必要があるから

ハードコンタクトレンズを脱着する際にまぶたを強く引っ張ると、皮膚が少しずつ引き伸ばされてまぶたのたるみを招くと考えられています。

まぶたは顔のなかでも特に皮膚が薄い部分なので、一日数回の行為であってもたるみのリスクが増大するのです。

日常的な摩擦がまぶたを刺激するから

ハードコンタクトレンズ自体による日常的な摩擦が、まぶたを刺激してたるみを招く可能性も指摘されています。

コンタクトレンズは便利なものですが、目にとっては異物です。特にハードコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズに比べて厚みがあるため、レンズの表面や縁がまぶたに当たると摩擦が避けられません。

摩擦があると、まぶたの筋肉や組織が無理やり伸ばされたり硬く変化したりするため、徐々に収縮力が失われることになります。その結果としてまぶたが上がりにくくなり、たるみへとつながっていくのです。

また、目を強く閉じてレンズを押し出すこと、まぶたを頻繁にこすることも、まぶたの皮膚や組織などに大きな負担を強いることになり、たるみを招くおそれがあります。

ハードコンタクトによるまぶたのたるみを予防する方法

ここでは、ハードコンタクトレンズによるまぶたのたるみを予防する方法を紹介します。ちょっとした工夫でたるみのリスクを減らせるので、できることから取り組んでみてください。

脱着時にまぶたを引っ張らない

まず、ハードコンタクトレンズを脱着する際に、まぶたを強く引っ張らないようにしましょう。まぶたに負担を与えにくいハードコンタクトレンズの脱着方法は、以下のとおりです。

  1. 目を大きく見開く。
  2. 上下のまつ毛のキワに指の腹を当てる。
  3. まぶたを上下に開くように優しく伸ばし、コンタクトレンズを脱着する。

この方法でレンズがうまく外れない場合や、まぶたを強く引っ張るのが癖になっている場合は、ハードコンタクトレンズ専用のスポイトを使ってみてください。専用スポイトは、コンタクトレンズ専門店やドラッグストアなどで購入できます。

使用時間をできる限り短くする

まぶたへの負担を減らすには、レンズの使用自体を中止するのが最もよい方法です。しかし、完全に使用をやめるのは難しいケースもあるでしょう。そのような場合は眼鏡を併用して、可能な限り使用時間を短くしてください。

なお、「ソフトコンタクトレンズに変更する」という選択肢もありますが、積極的にはおすすめできません。前述の通り、ソフトコンタクトレンズであっても、使用者は非使用者に比べてまぶたがたるみやすくなることが報告されているからです。

縁が薄くなめらかなハードコンタクトを選ぶ

まぶたへの刺激を減らすためには、目にフィットするハードコンタクトレンズを選ぶことも大切です。

縁が薄くなめらかになっているハードコンタクトレンズは、動きがスムーズで、角膜にも違和感なくフィットします。また、レンズの表面がなめらかだと、まばたきの際の摩擦が少なくなるため、筋肉やまぶたの組織に対する負担も軽減されるでしょう。

もっとも、どのようなレンズがフィットするかは、なかなか自分では判断できません。購入の際には眼科医にきちんと希望を伝え、目だけではなくまぶたの負担にも配慮してレンズを選ぶようにしてください。

ハードコンタクトで生じたまぶたのたるみを改善する治療法

まぶたのたるみが目立つ場合、あるいは日常生活に支障をきたすほどたるみがひどい場合は、手術も選択肢の一つです。ここからは、ハードコンタクトレンズで生じたまぶたのたるみを改善する治療法を見ていきましょう。

挙筋前転術・挙筋短縮術

挙筋前転術・挙筋短縮術は、眼瞼挙筋(まぶたを引き上げる筋肉)が伸びてしまい、うまく縮ませることができなくなった場合に行なう手術です。

・挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)
二重のラインで皮膚を切開し、眼瞼挙筋と瞼板(まぶたのなかにある硬めの組織)をつなぐ挙筋腱膜を露出させ、ゆるみを取りながら瞼板に縫い付けて固定する治療です。腱膜のゆるみが少なくなるため、まぶたを引き上げやすくなります。

・挙筋短縮術(きょきんたんしゅくじゅつ)
症状が重い場合に選択される手術です。

方法は挙筋前転術とほぼ同じですが、挙筋腱膜だけではなくミュラー筋(眼瞼挙筋と瞼板をつなぐ筋肉)も同時に短縮し、瞼板に縫い付けて固定します。

重瞼部皮膚切除術(じゅうけんぶひふせつじょじゅつ)

二重のラインに沿って切開し、余分な皮膚を取り除く手術です。重瞼部皮膚切除術は、挙筋前転術と同時に行なえます。

この治療ではまぶたを切開するため、あとで紹介する眉下切開リフトよりダウンタイムは長めです。また、まぶたの皮膚に厚みがあると美しく仕上がらないこともあります。

ただし、二重が形成されるため、二重まぶたを希望する方にはよい選択肢となるでしょう。

眉下切開リフト

眉の下のラインに沿って皮膚を切開し、たるみの原因となっている余分な皮膚を取り除く方法です。挙筋前転術と同時に行なうことはできませんが、眼輪筋(がんりんきん:目の周りの筋肉)にアプローチしたり、まぶたの脂肪を取り除いたりすることはできます。

眉下切開リフトは、まぶたではなく眉下を切開するため、手術前後でまぶたの印象が大きく変わることはありません。また、眉下は切開しても腫れが出にくく、傷跡が目立たないというメリットもあります。ダウンタイムが他の方法に比べて短いことも、大きな特徴といえるでしょう。

ハードコンタクトによるまぶたのたるみも、手術で改善可能

ハードコンタクトレンズの使用は、まぶたのたるみを招くおそれがあります。

対策としては、目元の皮膚を引っ張らないようにすること・摩擦の生じにくいレンズを選ぶことなどがありますが、たるんでしまった皮膚を元に戻すのは簡単ではありません。しかも、まぶたのたるみは見た目に影響をおよぼすだけではなく、肩こりや頭痛などの原因にもなります。まぶたのたるみに気が付いたら、早めに治療を検討しましょう。

当クリニックでは、コンタクトレンズの使用が欠かせない患者様の生活背景にも配慮しながら、よりよい治療方法をご提案します。ハードコンタクトレンズによるまぶたのたるみに悩んでいる場合は、お気軽に当クリニックへご相談ください。

記事の監修者:長澤 誠一郎

1984年慶應義塾大学医学部卒業。
医学博士。
日本美容外科学会認定専門医。
多くの治療実績を積みながら、
大手美容外科での院長経験を経て、2010年に銀座長澤クリニックを開院。
現在は日本美容外科医師会の理事を務める。
銀座長澤クリニックのすべての治療を担当している。

銀座長澤クリニックは、あなたのお悩みに向き合い、どのようなことでも親身にお応えします。
お問い合わせは無料ですのでお気軽にご相談ください。

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